事業名:中山間地域における地域住民との連携によるオーラルフレイル予防のための ICT利活用の強化?進展に関する調査研究事業~とくしま助INTプロジェクト~

※本事業は,国庫補助事業である

事業概要

医療職や福祉?介護職など支援職種と地域住民が一体となり口腔健康管理に取り組み,オーラルフレイル予防(住民による健口体操)の支援策として,オーラルフレイル関連指標をシステム登録する自立高齢者(“健口”サポーター)の育成および支援職種による口腔アセスメントや往診依頼に関するコンテンツの利活用促進に資する教育プログラムなど種々のサポート体制を整備する。また,誤嚥性肺炎等による入退院時の食形態把握と支援職種間での情報共有および遠隔の専門職参画による食形態等の最適化検討に資する電子情報(食事観察動画?嚥下音データ)のシステム登録環境と運用を構築する。これらの取り組みを通じて“口腔/食支援”を包括的に支援するICT共有体制の円滑な導入と運用構築までの手順をガイドライン化し,他地域普及に向けた体制?基盤を整備することを目的とする。
上記の目的を達成すべく,本申請事業において以下に掲げる調査研究,ICT共有体制の整備ならびにガイドライン策定を行う。
1. 質問紙調査:中山間地域における入退院支援を円滑かつ効果的に行うための情報管理,特に医療機関や在宅支援機関における“口腔/食”関連情報の管理方法の現状を調査し,両機関が望む最適な情報共有方法(情報伝達の内容や時期)の策定とICT共有体制の仕様への反映を行う。また,自立支援型ケアマネジメントにおける口腔アセスメント施行の現状を調査し,望むべく口腔アセスメント体制の構築とICT共有体制での情報管理方法の確立を目指す。
2. ICT共有体制の整備:上記1.の調査結果をもとに,要援護者等情報共有システム(以下,本システム)のコンテンツ入力機能(ミールラウンド)を構築する。その上で,介護職が食事観察動画や嚥下音データを登録し,その情報を遠隔の専門職が確認できるシステム環境を確立する。そして,誤嚥性肺炎による入院患者の退院直後の最適な食形態や食事介助の選択に関し,各専門的立場から適時に支援するための運用フローを構築する。また,守秘義務を理解できる“健口”サポーターによる自立および虚弱高齢者のオーラルフレイル/フレイル指標や認知機能指標の本システムへの登録(タブレットによる単方向性通信)ならびにデータ閲覧を可能にするシステム環境を構築する。
3. “口腔/栄養”目線による見守り意識の醸成と歯科受診勧奨の意識啓発に資する教育プログラムの実施:事業対象地域の支援職種すなわち本システムのユーザに対し“口腔/食”目線での住民の状況把握および本システムでの情報共有の必要性と意識,そして歯科受診勧奨に対する認識の向上を図るべく,口腔評価(口腔アセスメント)に必要なスキルの享受を目的とした口腔ケア研修会 (実習を含む)を実施する。また,“口腔/食”目線を取り入れた地域ケア会議や訪問歯科診療の推進に資する講演会(講師招聘による研修講演)を実施する。
4. オーラルフレイル予防プログラム(健口体操プログラム)の普及活動および各種リテラシー向上のための講話活動:前年度の本事業で口腔機能や口腔リテラシーの向上効果を実証した健口体操プログラムの普及活動を行うとともに,効果検証研究の協力対象者への継続研究を実施する。また,“健口”サポーターによるオーラルフレイル/フレイル指標や認知機能指標のシステム入力や結果に基づく健口体操の促しなど,“互助”の強化を含むオーラルフレイル予防の推進に資する口腔/栄養/健康リテラシー向上のための講話活動を行う。
5. 地域住民の自助?互助を支援する口腔機能および認知機能自動判定システムに関する試行的研究:“健口”サポーターによる虚弱高齢者への健口体操の促しを支援する一方策として,滑舌度判定および前頭前野機能の判定を目的としたガイドアナウンスAPI ならびに“オーラルディアドコキネシス測定”と“かなひろいテスト”の定期遂行を可能にする自動判定システムの開発と運用フローの構築を目指した試行研究を行う。
これらの事業を通じて“口腔/食支援”の視点から包括的支援を可能にするICT共有体制を完成し,事業対象地域での導入や運用構築,さらにはシステム利活用の促進に向けた各種リテラシー(口腔/栄養およびICTリテラシー)向上目的の研修など,円滑なシステム導入と運用構築に必要な手順をガイドライン化する。そして,“オーラルフレイル予防”の目線を培った中山間地域における理想的な地域包括ケアシステムの構築?推進に繋げることを最終目標とする。

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※案内リーフレットはこちら (PDF 799KB)

参考資料

老人保健健康増進等事業内容参考資料 (PDF 2.88MB)

事業結果の概要及び報告

 本事業では,まずICT共有体制の整備?拡充に向けた調査研究として,入退院支援業務に関する質問紙調査を医療職および福祉?介護職に対して行った。その結果にもとづいて稼働中のクラウド型ICTシステム(要援護者等情報共有システム,以下,本システム)の入力コンテンツ(ミールラウンドコンテンツ)を開発した。次に,地域サロン(通いの場)で運用する“口腔モニタリングシステム”および“健口自助システム”を開発?導入するとともに,健口自助システムの運用を支援職種や元気高齢者が主体となって行えるよう,“健口サポーター”としての養成を行った。
 一方,口腔保健思想普及啓発活動として,昨年度の臨床研究で効果が実証された口腔体操(“くっぽちゃん®の健口体操”〔徳島大学歯学部作成〕)の普及活動(解説用媒体の配付と講話活動)を,地域サロン(通いの場)を中心に展開した。地域職員に対しては,口腔ケアの重要性啓発やスキルアップを目的とした口腔ケア研修会,ならびに地域ケア会議への歯科参画の方策を検討すべく見識者による教育講演会を実施した。さらに,地域サロン(通いの場)参加高齢者のオーラルフレイル予防に資する口腔機能測定等に関する活動を,関連地域職員と協働して実施した。
 報告書の第1章において,本事業実施の背景や事業目的,および結果の概要を記載している。第2章では,那賀町における本システムの利用状況のほか,入退院支援業務に関する質問紙調査の結果およびミールラウンドコンテンツのインターフェースなど概要を説明している。加えて,口腔モニタリングシステムおよび健口自助システムの概要を解説するとともに,“健口サポーター”養成の具体を記載している。第3章では口腔保健思想普及啓発活動として,口腔体操普及活動(媒体配布および講話活動)の具体内容,地域職員に対して実施した口腔ケア研修会および教育講演会の開催概要を説明している。第4章では,地域高齢者の口腔機能の維持?向上に資する調査研究として,昨年度に実施した口腔体操プログラムの効果検証研究に被験者として参加した“通いの場”の自立高齢者の協力を得て,プログラム実施後の体操実施状況や口腔機能に関する調査を実施し,論文形式で目的や方法,結果の詳細および考察を記載している(学術雑誌への投稿準備中のため無断転載禁止)。また,“通いの場”参加高齢者への長期介入を前提とした口腔機能の経過観察(測定活動)の方法について解説している。なお,資料編として,入退院支援業務に関する質問紙調査(第2章3.)の原票,口腔体操の普及活動における講話活動(第3章1.)で対象者に配布したレジュメ資料,ならびに口腔機能調査(第4章1.)で対象者から体操実施状況等に関する情報収集に用いた質問票を付している。

疯狂体育,疯狂体育app下载物(報告書)

とくしま助INTプロジェクト報告書(PDF 9.97MB)

平成29年度事業

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平成30年度事業

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